狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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―――疲れた、寝たいのに眠気が来ない……。
(どんちゃん騒ぎと言っても良いくらいには賑やかな宴会へと足を踏み込めば、妬みや辛みと言ったチクチクと刺さる視線に宴会の中は晒され、こちらが幼いから分からないと思っているのか遠回しに言われる嫌味じみた言葉が飛び交う会場に内心嫌な気持ちを持ち、モヤモヤしながら過ごしていた。と言うか、女の人が居ないと思っていたのに遠縁と言う女性や巫家の血を僅かに引くと言う良家の娘など自分よりも歳上で綺麗で、御言様の妻に相応しそうな人が居た事に驚いた。女性が居ないから自分が引き取られたのかと思ったのに女性は居るし、なら血族がとも思ったがそれを考えたら自分なんて論外。何故と思いはしたが盃の酌み交わしに証まで施されたのだから自分に逃げ場はない、そうしてやっと宴会も終われば泊まっていくもの帰るものと分かれ、解散になれば柊と呼ばれた女性の手によって湯浴みをとの事でお風呂に入り、髪や体が洗われていく、正直自分でも出来るのだが恐らくこう言うのかこれからも続くのだろうと思うとため息をつきたくなるが、それは部屋まで我慢。湯浴みが終わり寝巻きの和服へと袖を通して自室まで案内されれば柊も居なくなる。朝から今まで誰かしらおり、肩に力が入っていたが自室に来たことでやっと息がつける、なんだかどっと疲れが押し寄せ、早くに寝てしまおうと思って布団に横になったのに、まだ気が昂っているのか緊張しているのか眠たい筈なのに寝られず、思わずため息をつくと、そう言えば庭のお花が綺麗だったなと思い返して、それを見ようと立ち上がり夜はまだ肌寒い為体を冷やさないように肌触りの良いかつ布地が少し薄い羽織を羽織ると庭に面している縁側へと出て少し行儀悪いかもしれないが縁側に座って庭の花々を眺めて心を落ち着かせようとしており)
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