狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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良い妻………至らぬ事も多いでしょうが、
精一杯頑張ります。
(これまでの嫁の中でも指折りの良い妻になると言われれば、これまでどんな人が妻として召され、どんな物言いをしどんな事をしてきたか自分は知らないし、教えてくれたりしなかった、だが何人も嫁を迎え、何人もその嫁を看取り人という者を見てきた相手が言うのだからこのままでいるのなら相手の言うように良い妻になれるのだろうか?孤児院に居た時から本が好きでおおよそこの歳にしては知識も語彙も所作も飛び抜けていい事位は孤児院で見てきた同い年の子の様子からしても知っているが、好きな人でもなく強制的かつ人ならざるもの者との結婚生活なんて分からないし、そもそも普通の人達の夫婦生活も親となった人達の生活も分からない自分に本当に務まるのか不安でしかない。だが、少なくても今の現段階で御言様は良い妻になると判断しているし、追い出すような素振り所か自分の髪を撫でたり、瞳の色を褒めたりと良い印象である事に間違いはない。これからもこのままの関係が続くように励まなければ…と強く心から思う)
いえ、失礼があってはならないと申し付けられております。未熟ながら御言様とどのように話せば良いのか分かりません。
共に過ごし御言様との話し方、接し方がわかるまではどうかこのままで居ることをお許し下さい。
………っ。
(言葉の言い回しについて言われるが、巫家の人から失礼があってはならないと耳にタコが出来る位注意をされたし、自分とて故意に言葉を崩して御言様の反感など買いたくもない、それに今日初めて会ってしかも夫になり、狐の人外で祀られるくらいには神格というものを保持していそうな相手にどうして言葉を崩せるのか、そんな事が出来るのはよほど気の強い人か、事を理解出来ていない幼子、気の据わった人だろう。自分も十分幼い年齢ではあるがそんな愚行は起こせない。そんな話し方をして癖になればいつかボロが出てきっと巫家の人から躾がはいるかもしれない、そんな事は容易に想像出来る、誰が好き好んで不要な躾を増やすものかと思いながらも遠回しに御言様との距離をどのように取れば良いか模索してる、その間はご容赦をと伝えていれば、骨ばった指が自分の髪の間をスルスルと抜ける感覚がする、この方は頬を撫でたり髪を梳いたりと人に触れるのが好きなのだろうかなんて思っていれば、御言様の月色のような綺麗な髪が畳へ流れる様子が見えた。『綺麗な髪の色、きっと触ったらサラサラとしていて…そう、まるで絹のような肌触りというやつなのでは無いだろうか』と少しだけ触ってみたい欲に駆られるが、それはグッと我慢する。宴会には花嫁は参加は必須と聞けば、あの騒がしそうで視線の五月蝿そうな場所へ行くのかと少しだけ嫌な気持ちになっていれば、右手を取られる。何をするのかと困惑まじりに見守っていれば人以上に鋭さを持った犬歯が自分の右手の甲へと刺さる、予想もしていなかった痛みと驚きで思わずビクリと体が震えてしまい、手を開放されればそこには自分の名前を冠する花に良く似た痣が刻み込まれており、なんだこれはと思わず見つめるも答えなんてわかる訳もなく)
………あの、これは一体?
(刻み込まれた痣は何なのかと困惑と言った表情でやや眉が八の字に下がりながら恐る恐ると言った様子で問いかけ、所謂聖痕というやつなのだろうか、何となく結婚し夫婦になった証なのかななんて思いはするが、あくまで憶測の為その答えを相手に問いかけ、これまでの嫁にもついていたのかなと少しだけ疑問が湧き上がるもそれは聞かずに痣についてだけ聞くことにして)
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