狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
通報 |
──そう震えるな。何も捕って喰おう等と思ってはいない。
(しゃらりと再び開いた扇子。僅かに上がった顔、余程礼儀を弁えているのか今まで出会った嫁とは程遠い大人びた印象を受けるのは言葉遣いとその仕草故か。菖蒲と名乗った少女は、女中が話していた齢十に無しからぬ知識の持ち主のようで。かちあった視線の先、名と同じ菖蒲を連想させるような瞳の色、身支度をし綺麗に結えられた濡れ羽色の髪。抱く睫毛の下に見た色は少しの恐怖か畏怖か、閉じてしまった瞳に残念に思いながらもふ、と風が吹き。いつの間にか相手の前へと移動していては片膝をついて持っていた扇子をパチリと閉じるとその先で相手の顎先を持ち上げ、紡がれたそれは安心させたくてか揶揄いたくてか否かはさておき、すぅと細めた目元と緩く弧を描く口許、着いていた膝から左手を離すと扇子の先に乗る小さな顎、どれだけ大人びようとまだまだ幼さを残す顔。もう一度だけその睫毛に抱かれた菖蒲の華を見たくて離した冷たさのある左手を相手の片方の方へと伸ばし鋭利に伸びた紅い爪の先、骨張ったさのある細い親指ですりすりと頬を撫でて)
眼を開けてごらん。私にその“華”を今一度魅せておくれ。
(何処か意地の悪い、狐特有かと取れる程に口の端を持ち上げてみせては僅かにその隙間から赤い舌と鋭い犬歯が覗かせては大人しく従うか否か相手の返答を待って)
( / そうですねぇ…。少しずつ成長していく過程、夫婦の描写は個人的には大変好み故、是非取り入れていきたい所ではありますが負担にならない程度で構いません。
追追そういった所も出来たらなぁと考えております。 )
トピック検索 |