匿名さん 2022-05-24 17:37:16 |
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……おいおい、こいつの方がよっぽど出来る奴じゃねーか。
(事態は自分の予想の範疇を超え今すぐにでも飢えた獣が肉へと喰らいつかんとする勢い。いい加減止めるかと動き出そうとしたその瞬間、周囲の空気をビリビリと揺らすような声が響き渡る。これには流石に驚いて目を丸くした。同時に赤い眼に映ったのは冷酷な目をしているにも関わらず、まるで煌めいているかの如く威風を纏う相手の姿。周囲はその覇気に恐れ慄いたようだが、自分は数秒間、相手のその雰囲気に釘付けになっていた。ようやく自分の激しく鳴る鼓動の音で我に帰って、無意識のうちに口元が薄っすら笑う。この湯屋にきてここまで心奪われることなんて一度もなかった。ただの人間なのに、たった一言でこの場を掌握する能力。本来それは自分にとって脅威でもあるはずなのに、ただ面白いと思う自分がいた。相手の肩に手を置き隣へ並ぶ。相手の言うことに間違いなどなにもない、理解していないのは従業員達の方だ。露払いの一言を放ったあと、満足げに笑みを浮かべつつ『いくぞ』と目で合図を送って廊下の奥にあるエレベーターにむかい歩き始めて)
こいつの言うとおりだ。お前等、誰のモンに手ぇ出してんだ?とっとと仕事に戻れ。体を動かすのがお前らの仕事だろうが。
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