匿名さん 2022-05-22 01:20:09 |
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……って、眠れるわけないよー!
(探偵事務所まで帰りつけば、もう大分明るくなってきたとはいえ2階の事務所の明かりが点いているのが外からでも分かった。探し疲れて眠っている可能性も踏まえてそーっと静かにドアを開けた瞬間、泣きそうな顔をした父親が大声で自身の名を呼びながら駆け寄ってきて、これほどまでに心配をかけてしまった事に胸が痛むと同時に、つられて泣きそうになってしまう。一睡もせずに近所を探し回ったり、普段は積極的に仲良くしたがらない母親に連絡を取ったりもしていたようだ。それでも本当の事情を告げる事は出来ず──泣く泣く園子の家に泊まっていて、話が盛り上がりすぎた故に連絡をし損ねてしまったという事にさせてもらったが…咄嗟の言い訳に親友を使ってしまったのも、なんだか嘘に巻き込んでしまったようで後ろめたく、父親の顔が直視できなかった。帰宅が遅れた理由を、一つ誤魔化すだけでもこの調子である。幼馴染みはずっと、こんな辛い思いをしながらあんなに大きな秘密を抱えてきたのかと思えば、長年近くで見てきたはずの彼がすぐ傍で苦しんでいるのに気付けなかった自身が、どうしようもなく情けなくなってくる。とにかく父親に謝罪と説明を繰り返して何とか納得してもらい、疲れているだろうから眠るよう伝えると、住居スペースに移動して放置していた物を簡単に片付け、自身も少し仮眠を取ろうと自室のベッドに横になり。それでも色んな事がありすぎて、瞳を閉じれば怪我をした彼の姿や彼が目の前で縮んでいく瞬間が脳裏に鮮明に蘇り…まったく眠れる気配がないまま、意味もなく何度も寝返りを打ちながら思いを巡らせて)
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