主 2022-05-14 16:43:39 |
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>187 鴉様
そう、みたいね……気を付ける。
(状況と合わせてこれ以上ないくらいに的確な諫言。素直に頷く以外の反応ができるはずもなく、こくんと首を縦に振っては、一つ呼吸をおいてから後ろを振り返る。同時にかすかな衣擦れの音が聞こえたかと思えば、すぐ後ろに感じていた気配が遠ざかり、彼を視界に捉えた時には、月明かりの届かない暗がりにドレスのシルエットだけが窺えて「それは……。――ごめんなさい、私が軽率だったから」その表情も見えなければ、声色から何かを読み取ることもできなかったが、殺し屋の仕事現場に踏み入った第三者の末路など考えるまでもない。たまたま面識があって、たまたま気が付いて貰えた、それだけのこと。視線を伏せて謝罪の言葉を口にすれば、ようやく一連の出来事に実感が伴ってきたのか、僅かに安堵を滲ませた声で呟き)
――でも、良かった。鴉くんが雇い主の娘を…なんてことにならなくって。
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