訳アリ少女の不安な情緒（〆）

…ぁ…えと、おれ……いや、自分は神谷って言うんだけど……う、うん。よろしく

( 大学生活初日。同じ学科の人達と初めて顔を合わせることになった。この容姿だからか、まずは女の子からよく話しかけられる。そして次に彼女を作りたがっていそうな男たちからよく話しかけられる。
しかし誰から話されてもぎこちない返事しかできない。今しがた新しく声をかけてくれた女子も例外ではない。するとその女子は自分を変な人だと思ったのか、挨拶もそこそこにすぐにその場から離れ、他に出来ていた女子グループの方へと混ざり楽しそうに話し始めている。)

はーっ……どうすりゃいいんだ……。

( 男と絡むにもこの女の身体じゃ彼女候補として見られそうだし、かと言って女の子たちに混ざるにも騙しているようで嫌だ。それにいつか戻ると思えば……その時にややこしくしたくないから今友達を作るべきじゃない。
そんな言い訳を自分に言い聞かせ、決して今の状況が寂しいわけじゃないと心の中で説得しながら顔を机に伏せる。)

いいんだ、大学は勉強するところだし。

( 色々な言い訳を考えては小さな声で口にして、そんなことを繰り返しながら……。誰かこんな俺でも相手にしてくれる人がいないか、そんなことを考えてしまわないように。他の考えで塗り潰そうとしていて。)