匿名さん 2022-04-24 11:11:17 |
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( 台風が通過したように滅茶苦茶となった店内に淡く奇妙な影を映し出す炎は段々と弱まっていき、彼が地に膝をつく頃には完全に跡形もなく消えてしまった。彼の痛ましくダウナーな側面のみ転がり落ちたその姿を見据え、拘束を緩める目的をもった糸は蛇のようにするすると動くが首の輪は解かれぬままで。既に事切れたかの如く指一本たりともしばらくは動かせないであろう、悪魔とも最早呼べぬ肉の塊へとちらりを目をやれば先程の彼の怒髪天を衝かんばかりまでの感情の渦に思わず身震いをする。普段からは想像できないほど、焦りと懇願、そして興奮に巻き込まれ少々異様な顔つきを浮かべる己が映ったガラスを嫌悪と共にそのまま踏みつければ、小さく息を吐いて体の中に新しいものを循環させた。どろりとした熱で若干赤黒い液体と化している肉片を念の為避けながら進めば、血まみれの自らの相棒に気に掛ける優しげな、それでいて理性の部分では少々の呆れも滲むような相反した感情の混じる声色で手を差し出し。「……もう、大丈夫ですか?立てますか?お手伝いしますよ 」ぴしり、と何処かでものが崩れるような音が絶え間なく小さく響くなか、母が子を咎めるような音色で腰を曲げながら小さく手を差し出し。手にはか細く粒子が纏わりついていて、優しい気遣いではありながら公安の一員として上下関係を明確にする意志を持っていて。それは自身の本質である優しげなずるい大人の属性を浮き彫りにするものでもあった )
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