匿名さん 2022-04-24 11:11:17 |
通報 |
(足を進めるにつれて荒廃していく夜の街、その果てに、太くどす黒い血痕を飲み込んだ地下の店への入り口を見つけた。ここまで見てきた血の量の夥しさとその独特な悪臭から、被疑者の悪魔そのものも民間ハンターの攻撃により負傷しているのだろうとわかる。つまり奴は弱っており、今が絶好の捕獲どきだ。しかしそれは同時に、逃げ込んだ狭い店内で死に物狂いの抵抗をされるに違いないこと、襲った人間から致死量の血を吸い上げているかもしれないことをも示し、臓腑を焦がすような焦燥感が沸き上がる。まだわずかに残る理性は、そこに動けぬ被害者がいるならば自分の〝能力〟は安易に使えないと冷静に説き、それが我ながら苛立たしい──しかしその思いもよらぬ打開策は、向こうから追いかけてきた。今夜何度も聞いた声、無垢な謝意を滲ませる声に相変わらず違和感を覚えながら振り返れば、パンツスーツの下の華奢な脚を駆って必死に走ってくる相手の姿。このときばかりは先ほどの険悪な雰囲気も忘れ、彼女の細い手首に漂う銀の粒子に一縷の希望を見出して表情が変わる。「ここだ! ワープゲートを準備をしろ。俺が突入して奴の気を引く、おまえはガイシャの確保に回れ!」──本来の立場は自分のほうが完全に下でありながら、黒い双眸をひたと見据えて放った指示は、有無を言わせぬ強い口調。返事は待たず、百はくだらないであろう血だらけの注射器を踏み砕きながら我先に現場へ駆け降り。ムーディーな黄金の照明に照らされたクラブのフロアは、やはりそれに似つかわしくない血の海が広がる有様。その真ん中、真っ白い高級なソファー席には、弱体化したためか3メートルほどの大きさに縮んだ人型の悪魔がまさに身を潜めていた。奴の腕の中に抱え込まれているのが、口から伸びた針で今も生き血を吸われている蒼褪めた女だと気づいた瞬間、自制心の一切が吹き飛び、敵意一色で己の心がどす黒く塗りつぶされる。こちらに気づいた注射の悪魔は、嬢から口針を引き抜いて大きく向き直り、耳障りな威嚇の咆哮。その反応に応えるべく、憎悪を燃やした目で奴を睨みつけながら右手を掲げ、己のトリガーをガチッと打ち鳴らした──直後、右手からは真っ赤な炎が悪魔の顔へ一直線に噴射、敵はのけぞりソファーの奥へ倒れ込む。同時に自身の全身も業火に包まれ、灼かれたあとに残ったそれは明らかに敵と同質の醜形。〝火炎放射器の悪魔〟と融合した、悍ましい異形頭の肉体へとその姿を変えていて)
(/引っ込んですぐですが一旦背後が失礼します! 常にまっすぐなカサネに対しアルドがあまりに捻くれてしまっていますが、それぞれの性格上多少ならば必然とはいえ、主様にご不快な思いをさせていないでしょうか……? アルドの態度に、背後自身がカサネの気持ちや不均衡な心労を心配してもいまして; 序盤のアルドの感じの悪さはいずれ彼女が大切になっていく変化のための前振りとして描写してはいますが、そこを含め、今まで見てきた中でイメージしていたアルドと程度が違うと感じる箇所、またもう少しこう変えてくれたらロルを返しやすくなるなあという箇所があれば、是非お伝えください。こちらからカサネに対しては「めちゃくちゃ心広いけど大丈夫? 一方的に疲れさせちゃってない? もっと怒ってもいいんだよ!?」くらいのもので、まっすぐで素朴な彼女にいつも癒されております……! また、この先の戦闘描写では、展開のテンポ優先のため字数を少し落とす予定であることもお伝えさせていただきます。)
トピック検索 |