ひなき 2022-03-15 14:25:02 |
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似合いますかね、
(本を捲る手を止め、貴方の方へ視線をふと向けた。手にしていた本をカウンターに置けば、ことり、と柔らかに音が鳴る。流れているジャズ音楽が一瞬止まった様に感じた。
お前には本と珈琲が似合う、と言われ、不思議そうに上記を尋ねて首を傾げる。耳に掛けた前髪が少し落ちた。それを払おうと手を伸ばす貴方を、抵抗もせず見詰め返す。普段はこんなことしてくれないのになぁ、とぼんやり考えつつ
「 どちらも好きですよ、似合うか如何かは別にして 」
撫でる様に髪を直してくれる貴方に、如何して良いか判らず目を細めて何と無く、と云った風に答える。貴方の前では御愛想等は振り撒く気にならず、本を置いて持て余した手でコーヒーカップの持ち手を指先でなぞり
「 貴方だって似合ってるんじゃないですか? 」
兎に角話の落ちが見えずに貴方に返す。手を離されそうになって、コップの縁を滑って居た自らの手を離して相手の手に触れ、微かに頭を擦り寄せる。
然し不審に思われないように直ぐに手を離して素っ気ない振りを
「 __ほら、珈琲冷めますよ 」
似合うと言い返されて笑う貴方を見ていると、急に恥ずかしくなって話題を無理矢理に逸らし、内心慌てて手に取ったコーヒーカップに口を付けて。ちらと横目で貴方を見た)
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