ユウジ 2022-03-14 02:52:51 |
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んぐっ…いえそうだけれど、そうじゃなくて……お名前は?
(疲れてる?と初対面にも関わらず図星を突かれ、声にならぬ音が唇の隙間から漏れる。営業としてあちこちに伺う身、内部エラーが外へ表出してしまうのは宜しいことではない。逆張りのように余裕を繕ってコミュニケーションの第一歩を踏み出そうとした、のに別方向からまたアプローチを仕掛けてくるなんてこの男…慣れている。別に手を繋いだことがない訳ではない。遠い学生時代や、最近だったらスキンシップの多い後輩にその隙間を埋められていた。しかし今宵のソレはどれとも違う感触で、だから相手の顔よりも絡められた場所を呆然と眺めてしまう。……期待通り、いやそれ以上?さっき吹いた魂はまだ彷徨ったまま、柔らかなソファへ腰掛ける。指先には恋人みたいな温もり。それにひとつ、ふたつ瞬きをしたところでシャボン玉が弾けるように意識を取り戻した。咄嗟に逸らした視線、反対の掌には自分の現実というか本性というかなんとも言えない戦利品たちが小さい袋にみっちりと。一先ず酒を呷ろう、諸般の問題はそれでなんとかなる。甘いのと辛いの、隣の彼はどちらが好みだろうか。尋ねようとして、はたと気がつく。もしかしてコレ、朝まで解放されない感じなのでは。)
…え~と、お酒、呑みませんか?そんなに無いですけど、もし良ければ。
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