ユウジ 2022-03-14 02:52:51 |
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……ごめんなさい、すっかり眠ってしまっていたみたい。こんなになるまで呑んじゃったのも久しぶり。ありがとう…でいいのか分からないけれど……、
(夢の向こうへ行っていた旅人は、その道を引き返し現に目を覚ます。ガラスのテーブルの上には所狭しと宴の跡形、頭を支えていた腕には僅かに痺れが残っている。くぁ と気の抜けた欠伸は早朝の空気と飽和した。お酒に溺れた昨晩、相手の挑発に乗ってハイペースで缶を空けたところまではなんとなく覚えている。息と共に頬を伝う滴を拭おうとすると目元に涙の名残。本人に記憶はないが職場のぼやきや恋愛について、僅かに寂しさを漏らしていた土産である。適当な女を持ち帰ったら酔い潰れて話しまくって挙句に眠りこけるなんて彼にはきっと多大な迷惑をかけた。だから返礼は二倍で。まだ余裕だった頃交わした約束、忘れられなかったのは義理真面目な性格か胸の高鳴りによる栞か。らしくもない気恥ずかしさが狙いをずらして相手の悪戯な目尻に一つずつ口付けを。それは甘さを糊に封を閉じるような夜の終わり。どうかあなたに 唇が触れた時の震えが悟られていませんように。)
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