ユウジ 2022-03-14 02:52:51 |
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(お酒に溺れていく姿を讃えられるなんて思ってもなかった。そもそもこの時間に、こんなに近い場所に温もりがある生活はいつぶりだろう。髪の毛一本程の距離にいる彼、不審者であることに変わりはないがその存在がこの夜をひどく安心させる。明日には覚める胡蝶の夢、ならば今だけは熱を重ね合いたい。優しく触れられた親指、その表面には甘いあまい液の名残り。丸ごと咥えては感触を犬歯越しに受け取る。瞳を動かすと愉快げな双眸とスパーク、上弦の月の如し口元は勝負の賭け金を尋ねた。二つの窓を閉じてこちらから差し出せるものを長考する。お菓子は既にあるしまず相手が何を欲しているか分からず、うむむ、考え物だ。少しずつ流れる時の中で、唸り声が上がったり眉間に力が入ったり終いには口を尖らせて相手の指を追い出す始末。……ようやく浮かんだ返答は夜の闇を一層深くするものか、真相は帷の向こう。)
そうね…あなたが欲しいものを一つあげるとか、どうかしら。そっちは何を?
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