匿名さん 2022-03-14 00:31:01 |
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……っま、お前、何でこんなところに。
( 木製の茶色い壁と床が紅い西日を柔らかに受け止める夕方廊下を進み、誰もいないと油断して足で勢いよく教室の扉を開けると、そこにいた思わぬ人物に一瞬名前を呼びかけ飲みこんで。
午後の訓練中、原因は自らがつけたものにも関わらず、男どもが柾の白い首筋を何度も盗み見るのを見て苛立てば、その多くが興味を持っているのは敷島の様な男が惑わされる情熱的な美女の方だとは分かっていても、目を赤くしてギョロつかせる連中を片端から道場の畳に沈めなくては気がすまず。教官からは今日の藤堂は気迫が違うなどとお褒めの言葉まで承った。それでも壱位の成績・甲は涼しい顔をした周防に攫って行かれれば大して嬉しくもない。
さっさと自室に戻って、昨日あんなことがあった男と同室では櫻子も休めなかろうと着替えと勉強道具をまとめれば、教室に教科書を忘れたことに気づいて取りに戻って来たのが今、扉を足で開けたのも荷物で手が塞がっていたためで。驚きで何故と口にしたものの、すぐに納得したように頷けば、それはそれとしてあまり会いたくなかった顔にへらりと愛想笑いを浮かべ、明人らしくない最低限の衣服のみが詰まった荷物を置いて自分の机をまさぐって。 )
まあそうだよな、俺はしばらく帰らないから安心して部屋で休めよ。
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