匿名さん 2022-03-14 00:31:01 |
通報 |
( 明人もまた昼休みに時間をとる気でいたため、人の輪の中で緊張したように身体を強ばらせている柾の温もりを感じて、それが暗い感情であろうとも彼女が自分を意識しいていることに気を良くしつつ「わかった、助かるよ」と、手遊びのように柾顔周りの髪を一房とって耳にかけながら端的に頷いて。 )
ああ、中庭でいいか?
( 柾とは対照的に午前中を涼しい顔で過ごし、ぎこちなくも自ら声をかけてきた彼女に馴染みの人懐こい笑顔で頷く。
夏の終わりの中庭は、日陰と風さえあれば緑が気持ちよく過ごしやすいが、食堂との往復の面倒の関係で昼は静な密談をするにはうってつけの場所。食堂の握り飯片手に半分日が刺したベンチを見て、普段であれば早い者勝ちと容赦なく奪う日陰側を女性である櫻子に無意識に譲って。2人きりになってそれまでの朗らかな笑顔を解けば、無言で日向側に腰を下ろして乱雑に脚を組み、櫻子も隣に座るよう視線で促して。話したいことは幾つも思い浮かんだが、一番最初に漏れ出た心配の言葉に、己に聞く権利はないと思い直せば、ぐしゃ、と頭をかいて深いため息を膝の間に落として。それから顔を上げて感情の抜け落ちたような冷たい視線を櫻子に向けると、態と卑屈で品の無い言い回しを選んで。 )
……体調は、良い訳がないだろうな。
お前、周防とあんなに仲が良かったか?
可哀想にな、アイツもお前に騙されて、心から同情するぜ。……ああ、それとももう知ってるのか?2人で脳味噌のお粗末な俺たちを嘲笑ってたんだな。それを俺みたいな莫迦に横取りされるなんて学年首席様は"紳士"なこって。
トピック検索 |