匿名さん 2022-03-14 00:31:01 |
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今夜の主役は愛子よね。招待客が主役より目立つというのは納得いかないわ。
(朝夕にふっと吹く風に肌寒さを感じるようになり、秋の気配を風に乗って感じられる季節へ移ろい。今宵は星の光が月のように明るい星月夜に夜会は開催されようとしていた。場所はとあるロココ調の家具で統一された華やかな一室にて。本日開催される誕生会の主役である彼女の名は愛子。二重の垂れ目に通った鼻筋、小さな唇。その名の通り愛らしさがあり、黒に少し赤が混じった黒髪は結い上げられ夜会結びで。その広すぎる洋室の私室にて、櫻子の幼馴染でありファッションデザイナーの愛子は櫻子を美しく華やかに着せ替えようと気合いが入っているのか、瞳は輝きを増して。愛子は櫻子の発言に不満混じりの声色で「今夜は私がデザイナーとして作成したこのドレスを披露する場でもあるのですから。…ほら、鏡をご覧になって?長身で細身の櫻子さんにピッタリなデザインに仕上げましたのよ。」姿見鏡に映るそのドレスは西洋のデザインを参考にして作成されたのか、胸元にレースをあしらったマーメイドラインのドレスでボディーラインを美しく見せ、背中は大胆に露出されており。首元には真珠のネックレスが美しく光り輝き。櫻子は女性らしい体型ではないものの、それをカバーするように身長は高く四肢はしなやかで細長く、浮き上がった鎖骨を美しく魅せ。情熱的な赤一色でレースとフリルがふんだんにあしらわれており、腕はドレスと同系色のオペラグローブでまとめて。髪型は愛子の特注でロングヘアのウイッグ使用、髪は結ばす毛先を念入りに巻くと真珠の髪飾りで髪も華やかに。櫻子は初めて見るハイカラなデザインのドレスに戸惑うと、背中が露出されているのもあって恥ずかしさで愛子の後ろに隠れたくなり、願わくば誰にも見られたくないと小さくため息が零れて。
そんな愛子も櫻子に劣らずロココ調、プリンセスラインのフリルとレースで花開いたような華やかさがあり、深い海を連想させるような深海ブルーのドレスで。髪とドレスが完璧に仕上がると次は化粧の工程へと移りドレッサー前へ櫻子を座らせてから「今日は柾さんではなく、櫻子さんですからね。化粧もドレスに劣らぬよう完璧に華やかに仕上げますわよ!」ドレス以上に化粧へ気合いを入れると、素材を生かしつつ華やかさと上品さ溢れた仕上がりで化粧の名の如く化けて、柾の面影は全く感じられず正しく完璧に仕上がり。)
こういった華やかな場は久々だから人酔いしそう。こういう時、社交的な愛子が羨ましいわ。
(その勢いのままメインのダンスホールへ二人で向かう途中、愛子は思い出した口振りで「櫻子さんにはまだお伝えしていなかったのですが、本日は女学校時代のお知り合いもお招きしていますの。あとでご紹介しますわ。」話し終わると同時に到着したのかダンスホールの扉を開けて。愛子と櫻子の表情は対照的でわかりやすかった。愛子はお淑やかに微笑むも櫻子の方は着ているドレスのおかげで目立っていると感じているのか、引きつったぎこちない笑いとなっており。幼馴染の愛子の誕生会というのもあって情けない姿は見せられないと気持ちを切り替えた櫻子は、愛子をエスコートするように会場の中心まで堂々と歩き。その途中で噂話が耳に入ったが、今の状況から櫻子はそれどころでは無いらしく目の前に集中しており。歩いている途中、異性の視線を痛い程感じて目を逸らしたくなるが今は櫻子として。愛子が折角美しく変身させてくれたのだから異性と視線が合うと艶やかに微笑みかけて。)
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