joyfree　(　〆　)　

>19


..…。

( 茫然と立ち尽くすしかなかった。前触れも無く物陰から現れたのは、＿＿人間かも疑わしい、やけに厳かな風貌の男。高級感のある和服に、光沢のある白銀色の髪は地毛ではない…と信じたい。よく出来たウィッグだと感心しておこう。都会ではコスプレと題して派手な扮装をする人達をよく見かけた。しかし、こんな田舎町の、しかも神社で、この格好。不審者の可能性は少なくはない。自分と比べはるかに高い身長を持つ相手の影に、丸々飲み込まれそうだ。''怖い''。そう直感的に思った矢先、その存在自体の重厚感と相反し、柔軟な声色で発せられたのは理解不能な言葉たち。再開日和？愛し子？尚更のこと不審者感は拭えない、むしろ増したような気もする。息を呑むことすらできず、鳥肌が治らない腕をさすった。しかし、素っ頓狂な第一声に少しばかり恐怖が引っ込み、頭が冷えてくる。こういう、ちょっとアブナイ人に出会したときの対処法って……ひとまずは刺激しないように、そっと距離を置くのが最善だろう。ひとつ引っ掛かるのは、「向こうの地での暮らし」という発言。私が上京していたことを知っているのか。そうだとすれば、赤の他人という訳ではない、のかな。もしかして、知り合いかもしれない。よし。黙々と笑みを浮かべる相手に、意を決して返事をしてみた )

え、えっと…ごめんなさい。お知り合い、でしょうか？数年ぶりに帰ってきたので、忘れていることが多くて…