誰か。 2022-01-26 16:54:10 |
通報 |
>19 神薙 仁
あら、どうしましたの?そんなに難しい顔をして…。折角の男前が台無しですわよ?
(心做しか重い足取りを止めぬまま、豪壮な建物の、広く長い廊下の窓から横目で外を見る。正確には外とは呼べないが、この総本部内ではそう呼んだ方がしっくりくる程に景観が整えられていた。人間と吸血鬼とが共存出来るこの素晴らしい環境は、現代の最先端技術が成せる技。その賜物のひとつ─燦々と輝いている偽の太陽は天頂高く、真昼間である事を示している。そんな明るい外とは反対に、己の心内は晴れやかでは無かった。日の出から然程時間が経っていない早朝、とある案件で呼び出されこの時間まで掛かってしまった。身体的疲労よりも精神的疲労の方が大きい。昼時で、総本部にいる大半の者は昼食を取るべく大食堂に集まっているのだろう、擦れ違う人間や吸血鬼は疎で。深い溜め息と共に視線を前方へ戻しては、腹というよりは心を満たそうと、薄い生地で作られたマキシ丈ワンピースのスカート部分をひらひらと揺らしながらその足を目的地へと向けた。到着すると案の定、ごった返している。しかしタイミング良く注文口には数人しか並んでおらず、列の最後尾に並んだはいいが、自分が松雪家当主だと気付いた途端順番を譲ってくれて最前列になる事が出来た。ふんわりと微笑んでお礼を言えば、精神的疲労を回復すべく白玉あんみつと温かい抹茶ラテを注文。それらをトレーに乗せ何処に座ろうかと食堂内を見渡し空いている席を探すが、混雑していて中々良い席が見つからない。先程と同様、当主である自分に気付けばもしかしたら席を譲ってくれるかもしれない等と期待をするが、お喋りや昼食に夢中でそれは叶いそうになかった。ゆったりとした足取りで席を探しながら奥の方へ進んで行き、ふと目に留まったのは、同じ幹部を務め度々顔を合わせる事の多い漆黒の男の姿。活気に溢れている周囲とは対照的な其処は、まるで彼の性格を表しているよう。小さいテーブルな為狭くはあるが、彼の向かいに座れそうだった。密かにほくそ笑む。足取りはそのままで近付くと、彼等吸血鬼の食事である山盛りのタブレット錠と山積みの書類がテーブルの上を占拠しており、何やら気難しそうな表情を浮かべている。穏和に微笑んで柔らかく話し掛けると「此処、よろしいかしら?」と向かいに座っても良いか聞いて)
(/許可してくださりありがとうございます。早速絡ませていただきました。少々長くなってしまいましたが…。ムラがあったり纏まってなかったりしますがよろしくお願いします。)
トピック検索 |