従者 2022-01-24 11:58:50 |
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>ニール
あなたのことだから、きっと誰かに強要でもされたんでしょう。それぐらいわかるわ、何年の付き合いだと思っているのよ。……私、怒っても悲しんでもいないわ。ほら、私を見て?あなたに愛想を尽かしたように見えるかしら?
( 彼の返答にそっと振り返れば、ぽつりと佇む姿が。力ない声音同様に覇気なく短剣を握る彼にいつかの、出会ったばかりの少年の彼が想起される。あの頃とはちがい宮廷画家として身なりは見違えるように変化したが、捨てられた犬のような姿につきりと心が痛んで。ともに育ち、愛を抱きあった彼だからこそ誰かに命令でもされなければ刃など握らないと改めて確信する。先程までは感じていた本能の恐怖も波が引くように凪いでいき、刃先は遠のいたとはいえ未だ握られるばかりの短剣など気にもしないように穏やかに微笑みながら、そっと彼の頬に右手を添えようとして。 )
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