従者 2022-01-24 11:58:50 |
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>ニール
……ねぇ、ニール。後ろを振り向いてもいいかしら。
( 既に月が城を見下ろす夜更け、寝室に赴くべくひんやりと冷気が満ちる廊下を歩いていれば、さらに鋭利で冷たい感触が首筋へと近付いた。その命を脅かす切っ先に、足とともに一瞬息が止まる。王族というものは守られもするが狙われもする、危うい目にあったことは初めてではないとはいえ此度刃を向けてきた背後の相手、その者の口から愛しい人の声が零れたものだから恐怖よりも驚きが勝り。なぜ、どうして、疑問は様々あれど今こうして無防備な首を掻っ切らない事実、しかしその刃は彼が持っているという現実、それら全てが事情を知らぬ彼女には異なことばかり。しかしどうであれ彼なのならば、対話はできるはずだ。そう考えて、葛藤の声を溢す彼に努めて落ち着き払った声音で問い掛けて。 )
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