三潴 渚 2022-01-21 22:21:45 |
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あら、私はいつだって本気よ。…なあんて。
( 飄々といって退けた矢先に耐えられず真面目ぶった顔を破顔させ。流水に晒した指先を適当な所で切り上げて水を止める。先程から手にしていたお玉にて漸くシチューを掻き混ぜながら、鍋の中へ視線を落とし。もう十分に煮込まれた様子のそれを皿に盛ろうと一旦火を止め、余りにも自然に笑みを浮かべる彼へ双眸を向け。私はこの子に甘い。最初から分かりきっていた事を改めて己の中で反芻し、悪戯子の様に提案する可愛らしい姿に軽く肩を竦め。此の儘では今後も彼の望む通り家に招いてしまいそうだ。それはいけない事だとせめてもの理性が働くうちに止めなければ。曖昧な笑みのまま二つの瞳をゆるうりと細め、彼の額を指先で軽く小突くと )
はいはい。言わないから安心しなさい。生徒を家に招くのは今日が最初で最後よ。だから…寧ろ甘えられるのは今日だけなのよ。ふふ。
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