信仰布教人 2022-01-20 11:29:51 |
通報 |
(街の裏側、光がある中でしか影は生まれないしその逆も然りである。人々の掃き溜め場であり、目の上のたんこぶであり、誰かの救いの場でもある所謂ところのスラム街は整った整備など無く狭い路地の様に入り組んだ街を吹き抜ける風は冷たく、まともな住処が無い者も多くあちらこちらに道すがらに倒れている者ばかり。不衛生な屋台が並び貴重な小銭が多少のやり取りで飛び交うがそれを握る力を持った者が吸い上げ人々はやはり路頭に迷う始末である。そんなスラム街の少し外れにある廃墟の中、狭い一室で割れた鏡の向こうに映る己を見詰める男が独り。洪水のように降り続いた昨夜の雨は今は止み、まだ冷えるものの清々しいと言える朝を迎えては居たが男の髪は乾ききらず水が滴り、黒く靡くコートもずっしりと重い。それは男が生業としている殺しの果てに奪ってきた命の重さとも言えようか、身体に鉛若しくは鎖のようにまとわりついて離れようとはしない。冷たさと怒りと哀しみを混ぜた瞳を一度伏せると傍らに置いた刀を手にとり力強い拳を鏡に叩き込むと無惨に砕け散り、素手で見事に突っ込んだ右手は切り傷ができ血が滴るも痛みに鈍いのか気にならないのか廃墟を後にして。暫くしてコートのポケットに暫く前に見つけた張り紙、破けていてよく読めないが教会の場所と“祝詞”が書いてあり、それを目で追い眉間へ深い皺を寄せて再びポケットの奥に無造作に突っ込むと顔を上げた先に見えたのは目的地。濡れて冷たい前髪を少し掻き上げ今は亡き城を利用したその教会の門の前に佇み、少しの間鋭い視線を動かして辺りを見渡していれば向こうから朝日に照らされた煌めく髪を靡かせる男が歩んで来るのが見え、刀を持つ左手に思わず力が籠るも静かに開いた門に半歩だけ後ろへ下がり、問い掛けられたそれにただでさえ険しい顔を更に険しくさせると少し視線を落とすも、ポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出して差程大きく変わらないが見た目より身体の造りがはっきりとしている相手の顔の前に突き付けて低く、確信をつこうとしている強さと何処か迷いを含んだ声で問い掛け)
──…此処は“エデン”と呼ばれている所か?
( / 素敵なロルをありがとうございます。此方も久々ゆえに駄文ばかりではありますが、主様のロルはとても分かりやすく心情や終始ロル傾向の此方にとっては有難い限りです。此方も御相手様の言動を制限するロル等は回しませんので、主様のお好きなように回して頂いて構いません。 / 蹴可 )
トピック検索 |