黄昏時 2022-01-07 18:07:37 |
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>>ルゼルマさん
(互いの等価交換が成立したところでひとりでに止む音、人通りの少ない裏路地に構えられているこの店の店内には自分の呼吸音が聴こえそうなほどの静寂が訪れた。対価が金銭の類でないのもそうだがやはり不思議な店だと改めて思うとひとつ軽く息をつく。さて、何から話したものか…こことは違う己の生きた世界について彼らが興味を唆る何か…少し思案してから思い当たるものが一つだけ、コチラに来てから強く痛感した違い。人間のつまらぬ地位の固守や蹴落とし合い、己はそれをより間近で見てきた人間だった、そしてそれらに手を貸していたのも…己だ。それが当たり前の事なのだと思っていたから、ここの自由さには随分と驚いたものだ。グラスを再び口に近づけてアルコールで喉を潤してから口を開く)
「俺の知っている日本は常に貴族と平民とで身分差別が厳しく、貴族が通る時は平民は地に座り頭を下げねばならなかった。子どもであろうとそれを破れば処罰対象、酷い話しだろう?」
(淡々と軽く説明しながら話し始めたが、最後に投げかけた言葉には何処か自嘲地味た声色が混じり、何かを思い出しているようにぼんやりとグラスの中の水面を見つめ)
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