匿名のなめ 2021-12-25 22:01:06 |
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(女は一言断りを入れ、口元を布で抑えた。やはり煙がきついのだろう、気遣うつもりはさらさらないが。
それにしても随分と上品な所作だな、と密かに彼女を観察する。見かけだけ装っているのではない、昔から身につけているのが見て取れる自然なしぐさ。はたして生まれか、ギャランテの仕込みか、あるいは彼女自身の資質から来るものか。いずれにせよ、奇抜な見た目に反して教育は受けている、もしくはそれに類する素養の持ち主であるらしい──と、同居人に関する情報を頭の中に追記していく。なにかしら信頼できる点をまずひとつ見いだせたのは、悪くない。
こちらの説明を聞き終えた彼女ははたして、想定にたがわず思慮深い質問を投げかけてきた。二つ目の質問には、やはりどうしても危機感から正直に顔をしかめてしまう。だがしかし、それこそ改竄や隠蔽を生業とするプロ相手に不用心を懸念するのは、あまりに無粋な思考だろう。ギャランテの様々な家主の隠れ家を転々としているという噂が本当ならば、その手の備えにも慣れているはず。ゆえに、視線を外し、うなじを軽く?きながら信用の旨を告げる。)
俺の部屋なら、そこの黒いドアの向こうだ。見ても大したものはないが、そうだな。無遠慮に踏み込まれるのを歓迎しているわけでもない。
買い物のほうは……〝今まで通り〟の措置をしてくれれば、取り立てて文句は言わない。とは言え、大きく嵩張るもの、俺の許可しない業者を入れる必要があるものは不可だ。そのあたりは、だいたいはわかるな。
(と、言うだけ言ってしまうと、反応を待つでもなく口元に手を添え、再び深々と一服。それからやおら立ち上がり、質問を受け付けたのだから話は終わりだと言わんばかりに、浴室の方角へ頭をわずかに傾け。彼女の端正な顔──最初のあの瞬間よりは異様な印象がいくらか和らいでいた──を最後にちらと一瞥すると、就寝の挨拶もなく自室に姿を消してしまい。)
今夜はもう遅い。シャワーを浴びるなら先にしてくれ、その間にそこに毛布を出しておく。……何か困ったら起こしてくれ。
確定ロルじみた展開で一日目の終了を示唆してしまいましたが、ストーリーを進めるためのものとしてご容赦いただければ幸いです。ノナメ様のほうでもこの先同じようにしていただいて構いません、むしろ大歓迎です。
また、現段階のアレクのシャルに対する好感度はごくわずかに上がった程度ですが、二日目以降は背後も展開づくりにより励み、様々なきっかけで彼女にどんどん甘くなっていく結果、まずは例の口移しに至る予定です。出会いのころだけはどうしても遅々とした進みですが、親しくなるまでの実は短いレア期間ということで一緒にお楽しみいただければ……!
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