菫色 2021-12-24 01:46:25 |
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そうだろうか。日々の折々を二人で俺と主の二人で過ごすのだから、思い出は増えそうな気もするけど … 。あなたの記憶、ただ一部であっても他の人間 __ 或いは、刀に占領されてしまう事がただただ惜しい。その記憶を俺だけのものに出来るのなら … 。 …… 人間の身を得てから、俺は酷く貪欲になったような気がするよ。
俺が短刀だったなら、あなたの懐に忍ばせてもらえたかもしれないね。持ち歩けないなら仕方ない、矢張り俺を連れて歩く事が一番の得策だ。
何事も元に戻ると言うのは、それだけで強みでもあるけれど。戦の最中に髪を気にして戦ってはいられないだろう?切れたところで問題は無い __ 筈なんだが、失ってしまうことには未だ慣れないね。 … あなたは人間だから、髪を伸ばすのに何年と掛かるだろう。良く手入れされていて美しい髪を持っているんだ、何かに巻き込んで切らざるを得なくなる、なんて事にならないように。 … ああでも、俺以外の何かがあなたを傷付けるのは許せないな。あなたの傍の最も切れる物は俺だろう? … 勿論、その時のように首を傷付けない為にも、あなたに似合うマフラーを買って来る事は急務だ。直ぐに見繕ってくるから、楽しみにしててほしい。
__ こうして喜んでいる事が目で判断出来ると言うことには些か恥ずかしさもあるけれど、主が喜んでくれるなら、まあ … 多少は我慢するよ。 …… 有難う、無くさないようにしまっておきたいものだけど、折角なら使わないと勿体無いね。あなたが手ずから作ってくれたのなら、見栄えなんて気にする事はない。
… 主、あなたにお願い事をしても良いかな。今、俺の髪をあなたが贈ってくれたそれで結ってほしい。 … だめかい?
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