政府職員 2021-12-18 01:03:44 |
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守護下、ねえ。
(アメジストを嵌め込んだかと思い違える程に美しい瞳には、依然として敵意が浮かんだまま。見定める様な視線が真っ直ぐ突き刺さると、目前佇む少年を真っ向から見つめ返して。顔立ちに似合わぬ、低い声が震わす空気は冷たく重い。その声が途切れてから数秒の間を経て、一言だけ呟いた。再び口を閉ざし逡巡する。彼が守っていたものとは、一体何なのだろうか。主君たる審神者の安否すら分からず、霊力不足により消えて行く仲間を現世に留めおく事さえ出来なかったと言うのに、__何を守ると言うのか。心の中に芽生えたのは一つの好奇心と、角砂糖程の小さな戯れ。ゆうっくり、猫が敵意の無いことを示すかの様に緩慢と幾度か瞬きを繰り返して、定め返すが如く瞳を細めて見せた。嘲笑にも見えるだろうか、曖昧な作り笑顔を貼り付けたかんばせを変わりなく、)
そう話を急く事も無いだろう。明日をも危うい命ではなし、多少の歓談程度付き合ってくれないか。……そうさなあ、例えば君が"何を守っているか"なんて如何かな。主君も仲間も守りきれなかった君が守っているもの、とても興味深いものだ。是非聞かせておくれ。
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