匿名さん 2021-11-29 00:22:38 |
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(砂混じりの風が吹く荒地を進む20名の小集団、彼等の服装はどれも小汚く、雑多な布や生地を縫い合わせた様な仕上がりだった。肌は皆浅黒く、もっさりとした髭を蓄えている。集団の中に女はおらず、男共の体躯はヴィキリアの兵より幾らか小柄、しかし目付きの鋭さは大熊を思わせる。ルーゼン国民のルーツは遠い冬国にあるらしく、毛量の多さは変わらず受け継いでいる様だった。服装と同様に武器もまた統一されておらず、お手製なのが遠目に分かってしまう程粗末な作りであるが、火器と名乗って問題ない程度の威力を有している上、集弾性の低さがかえって脅威となる場合もある。動きすら統一がとれておらず、列を乱しながらに行軍する彼等はまだ、敵が迫っていることに気付いていない)
ロイゼット
「承知しました、荒い運転は止めて下さいね」
(隊長の指示を受け兵の間に緊張が漂うものの、それを噛み殺しながらに素早く車輌から丘陵へと展開していく。場数を踏んだ軍人であれば今日の任務など散歩に過ぎないだろうが、何せ新米にとっては命懸け。戦場に慣れるという意味ではこの定置網の様な任務も存外役に立つと言えるだろう。車輌に残ったロイゼットは隊長を流し目に見つつ手袋を片手だけ外して砲塔の後ろに回る。歩行型に付いていた兵らも展開が完了したらしい)
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