匿名さん 2021-11-29 00:22:38 |
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ロイゼット
「…承知しました。では後ほど」
(表情こそ変えないものの言葉に不服げな色を隠す事なく混ぜながらに頷いて見せれば、戦車へ向かう彼の背を目で追う。これは車輌を随伴させる判断に対する含みではなく、彼が自ら隊を率いる事に対する不満の現れだ。副官である以上、隊長が出向くのならば同伴するのが職務、こんな小規模の敵相手に出陣するなど億劫でしかない。ただ、このやり取りも既に見慣れたものであった。周りの兵と言えば彼女の様子に苦笑いを浮かべている。勿論、今彼女と目が合えば小言を聞かされるのは分かりきっている為、バレない様にではあるが。去り際、差し出された代用コーヒーに軽く口を付け顔を顰める。彼女は相変わらず、重度の甘味好きだった。
数分後、テント近くに10名の兵が整列していた。深緑の装備に小銃、この地に来てから退屈続きだった為か、士気も十分な様子である。時刻は15時過ぎ、荒地特有の黒っぽい雲は掛かっているが概ね晴れており、気温はやや高め。ロイゼットもまた、列の傍に待機していた)
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