匿名さん 2021-11-29 00:22:38 |
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ロイゼット
「隊長、斥候が戻りました。
敵は歩兵ばかりの小規模、魔導兵も含まれないとの事です。…戦車を随伴させるまでも無さそうですが、如何しましょう?」
(このだだっ広く、ひび割れ乾いた土地には、過去の遺物である瓦礫が点々と続く。しかし、代わり映えしない光景の中に、目立つ影があった。
装甲列車の一両へ無理矢理キャタピラを付けた様な、不恰好な車両の直ぐ隣、日差しだけを防ぐ簡素なテントが張られている。その下で、深緑の軍服を纏った女性が切長の瞳を光らせながらに声を掛けた。艶のある紫紺の長髪が乾いた風に揺れ、舞い上がる土煙に不機嫌そうな顔を浮かべている。無理もない。ここ2週間ほど荒地に布陣続きで、食事と言えば味気ない戦闘糧食、水浴びも満足に行えていないのだ。
場所はヴィキリア南部、国境外縁。戦争状態にある小国ルーゼンとの小競り合いに、本隊も駆り出されていた。敵は性懲りもなくヴィキリアの国境を目指し、こうしてまた網に自ら引っ掛かる。資源も土地も貧しい小国、攻めた所で旨みもないのだから適当にあしらっておけ、という連邦上層部の考えが見え透いていた)
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