幼馴染 2021-11-28 19:10:47 |
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( 相手の意味深な言葉の真意は読み取れなかったが、美男子の放つ爽やかな笑顔を不意打ちでバッチリ正面から受け止めてしまい悶えそうになって。やめてくれ、未だに直視すると心臓に悪いんだから。なんて言えるはずもなく気合いで堪えて「あはは、わかるーなるほどねー」と空返事を。彼の仕事は、口振りからも察するに今がある種の繁忙期らしく。何せこちらはホストクラブに来店したことがない身のため、実際にシャンパンがミサイルのように飛び交うのだと言われれば疑ってかかる術もなく、誇張された言葉をも真に受けながら興味深そうに相槌を打って「なにそれ大変じゃん!ちゃんと休んで栄養摂らないとだねえ、倒れたら何人の女の子が泣くことか。ほらほら、野菜もっと要る?」既になくなりかけていたサラダの中からプチトマトをフォークで掬い上げ、問答無用で相手の小皿に移して。仕事の話でカウンターを食らえば、昨晩の激務を思い出し項垂れて「昨日は締切で徹夜!やっと寝られたと思ったら悪夢見るし……あれ、なんで寝てないのわかったの?隈出来てる?」幾度かの瞬きの後、寝不足と言えど今晩の特別な予定を忘れてはおらず、慌てて近くに置かれた手鏡を引っ掴み目元を確認して。彼の職場が戦場と言うなら、私が今晩乗り込むところだって戦場みたいなものだ。今日の自分が万全の状態でないことが悔やまれるが、容姿は何とか化粧で誤魔化せるかと安堵し、一頻り確認した後に手鏡を置いて。朝食を再開するなり、仮にも想い人が目の前にいるというのに、遠慮なく大口を開けて最後の一口をぱくりと飲み込み平らげて「一足お先に、ごちそうさまでーす」と合掌を。メインディッシュは冷蔵庫に眠るケーキ。柄にもなく紅茶でも淹れようと席を立ち、朝食のプレートや小皿をシンクに運べば、食器棚からティーカップを二つ取り出して )
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