匿名さん 2021-11-18 15:54:31 |
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( 返事がかえってこないことは特段嫌なことでもない。そもそも、初対面の己のことを受け入れてくれているというだけで特異な優しさが垣間見える。恐らくずっと使われていないだろうものも新品同様綺麗なまま。使うことに対して申し訳なさすら沸いてくるようだった。杖が床をつく音に少しだけ驚く。静かな室内では、小さな音でもよく響くのだ。沈黙を割いたのは、肯定の色。「何も食べなかったらさすがにお腹すきますから。有り難う御座います」当然のように織り混ぜられた嫌味には反応せず、やんわりとした言葉にて答え。口が悪いだけで根は優しい魔法使いなんだろう、なんて勝手に思いながら、そんなことは一切態度に出さず。きのこの入った袋を手についていった先はキッチン。一先ず焼くことができれば良い。味付けは塩胡椒だけで事足りる。「勿論。フライパンだけお借りしますね」ぐうと鳴った腹の虫が、ほぼ何も食べていなかったゆえの空腹を思い出させる。言葉少なにフライパンを振り、きのこを焼いたり炒めたりとしながら最低限食べられるものを生成し )
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