使用人A 2021-11-08 23:48:34 |
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>イヴァン
( 使用人は総じて貧民街の者と言うわけではもちろんなく、一族をもって主人に仕える家もあれば出稼ぎに来る者もあれば・・・この会場にこのような部屋がある時点で、ここに居る使用人達はこぞってこの部屋に見合う身分だということだ。白い手袋の下から、綺麗な白い手が覗く様を随分と色っぽい光景だと他人事のように視界に捉えつつ扉を閉めて中へ。薄暗い部屋の中では相手の表情さえ満足には見えないが、貴族をこの部屋に連れ込んだことが公になるよりはマシというものだろう。
「・・・私はただ、パーティーの主催者に給仕として呼ばれただけでございます。普段はロンドン郊外の、小さな酒屋で働いておりますので」
心底楽しそうに告げられた言葉に、少しだけこの男の本性を垣間見た気がして一つまばたきを。主人もそうだが、人をからかって遊ぶ人間に限って・・・というと語弊があるかもしれないが、そういう人間に限って時に無情にもなれることを知っている。が故に、主人のことを口にすることははばかられた。さあ、二の舞にならずに、会場に男を戻すには少々時間を稼がなくては。こちらからの質問の前に、相手の興味を削ぐかもしくは・・・
「・・・お召し物をお預かりいたします。お身体が冷えてしまっては困りますから、毛布をお持ちしますね」
使用人は使用人らしく、そうして近付いた方が警戒されないだろう。赤く濡れた服を受け取る為に、近くの棚にしまわれている毛布へと手を伸ばし )
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