常連さん 2021-10-17 16:20:09 |
通報 |
(彼に促された通り、ぼろぼろに使い古された靴を脱ごうとしたところで、己の身体の汚さに気が付いた。そもそも死ぬ気だったのだから自分の身なりに気を遣っている余裕なんてなく、洗濯すらまともにしていない制服には泥やら砂やらがこびりついてしまっている。折角の部屋を汚してしまうのでないか、玄関から一歩踏み出すことを躊躇うも、そうこうしている間に真っ暗な室内に呑まれていく彼の背中。「もう一人にはなりたくない」と慌ててそれを追いかけた。既に暗闇に目が慣れてしまっていたのか、やけに眩しく感じた照明。辺りに転がっていた、普段はなかなか見ないような絵具やキャンバスに思わず目を惹かれ)
◇◇◇
(まあ約束の時間に遅刻されるより、こうして余裕を持って訪ねてきてもらう方が楽といえば楽。もしかしたら早く部活に行きたいがために急いで来たのかもしれない、それなら入室時に息が切れていたのも納得でき_「……は?」そう自分の中で附に落とそうとしていたのだが、聞こえてきた問いかけに、なんとも気の抜けた声が出てしまった。真面目な顔で何を言っているんだこの生徒は。“呼んでくれた”なんて、まるでこの呼び出しを待ち望んでいたかのような_。ひとつ咳払いをして、ぱっと意識を切り替えると指導用のファイルを片手に彼の真正面の席へ着席。今はそんな些細なことを気にしている場合ではないのだ。自分の仕事はあくまでも生徒指導。早速本題を切り出そうと)
なんで呼び出されたのかは君も大体見当ついてるんじゃないの?…ほら例えば、その髪はいつになったら黒に戻るんだ?
トピック検索 |