匿名さん 2021-09-25 00:19:04 |
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(最終的に吐き捨てられた言葉からやはり肉親に売買された娘であるという事は予測出来て、同情も悲観も己にはそんな感情を持ち合わせてはおらず、寧ろ都合が良いと捉えていて。降りた途端、遊園地にでも連れて来られた子供のようにはしゃぐ甲高い声に一瞬眉間の皺を深めるが咎める事はせず、早々に歩み始め。「行けば分かる、下の連中が俺と同等な場所に住めると思うか?」車に残された運転手は二人の背が見えなくなるまで深々と頭を下げていたようで、反社会者といえどその丁重な扱いはまるで何処かの有権者同様で。広々とした駐車場を抜けて、正面玄関とは別の裏口からマンション内に入ると中世ヨーロピアン風のエレベーターホールが現れて、中へと乗り込み。「外で俺の事をボスと言うな。不自然だろ。利口な頭ならその意図が分かるはずだ。」最上階のボタンを押すと扉はゆっくりと閉まって暫し密閉空間に二人からという状態となり。徐に懐からシンプルな名刺入れを取り出すと、そこから一枚、彼女へと渡し。“ 鬼頭 宗介”と書かれたそれを落とすなと念を押すように一瞥した後、到着の合図と共にエレベータの扉は開かれ。エントランスの前方は一面ガラス張りとなり、床は大理石が敷き詰められ良く磨かれている。観葉植物が場を映えさせており、その一角にあるオートロック式の玄関扉を開いて室内へと彼女を招き入れ)
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