りりこ 2021-09-24 18:29:05 |
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…… … …。
( 目が覚めると、見知らぬ天井が目前に広がっていた。思考はまだぼんやりとしていて鮮明ではない。
ここは何処なのか、なぜ気を失っていたのか、朦朧とする意識の中で必死に考える。
召使として勤めていた家から些細なミスで追い出され、それからは行く宛を探してさまよっていた。あの家の主人は元々人外が好きでは無かったし、異様な見た目も気に入っていなかった。需要の低い召使に十分な給与を与えてくれる訳もなく、産まれた地から離れ、身よりも無い。
服装は一見質が良いが、その他に持っているのは明らかに使い古された小さな頃鞄のみ。荷物も殆ど入ってはなかった。
他に覚えている事と言えば、空が陰り雨が降り出し、空腹と寒気に耐えながら路地へと入っていった所までだ。
痛む頭を押さえれば、もっと周囲の状況をよく見ようと身体をゆっくりと起こした。)
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