観測者 2021-09-18 20:02:12 |
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>ロイ
情報には情報を──賢者の石を知っているか?
(圧倒的不利な立場であることは理解している。それでも尚交渉に持ち込もうとするのは、全てを失う恐怖より目の前の死神への苛立ちの方が大きいから。脅せば早いと言わんばかりの行動も、わざわざこのアトリエを選んだその選択も、癇に障って仕方がない。まあ、それは自分が大層な負けず嫌いの捻くれ者、ということも一要因かもしれないが。しかし、それでも尚、死は恐ろしい。だが、錬金術師になった時点でまともな結末も普通の幸せも来ないことは覚悟している。死神に狩られるという終わり方は、人の命を散々弄んできたわりには穏やかな報いだろう。鋭利に眼前の死神を見据え、単刀直入に質問をする。今、一番渇望している知識であり、王命によって一生逃れることのできないであろうそれ。古の黴くさい文書にしか見られず、世間では信憑性のない噂しか流れてはいないもの。欲しいのは憐れみでも終わりでもなく、純然たる交渉。だから、まだ足りない。床に落とした羊皮紙を眺めながら、手の平の中の石を転がし、軽い雑談をする調子で)
この石は、先ほどのように水や茶葉には基本無害だが動物由来の物を嫌う。具体的に言えば爆発する。骨も残らない。万が一、手元を狂わせても死神様は無事でしょうが、矮小な人間である僕はとても。
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