人々が天使という存在を確かに信じている世界。
天使たちは神の御意思から世界の均衡を保つため、時には戰を扇動し、時には無造作に人々の命を刈り取った。
永きにわたる時の中で理不尽な統制を繰り返してきた天使たちだが、ある時から神のご意思に疑問を持つ存在が現れる。
彼らは人も天使も神に縛られることなく自由に生きるべきだと新しい理想を掲げ、神の怒りを買い、堕天した者としてそれぞれ罰を与えられた。
ある者はもう一人分の重い翼を与えられ、ある者は翼を全て剥ぎ取られた。
彼らの悲惨な末路に慄き、恐怖で神への信仰心が強まるかに思えたが、彼らの意志を継がんとする者たちが次々と現れ、堕天した者たちで勢力をつけるほど自由意志を持つ天使が増えていった。
神はさらに怒り狂い天使たちに堕天使の抹殺を命じたが、真髄が純粋で清くあり続ける彼らはやんわりと神の怒りを収め、同胞を守り続けることを選んだ。
いつからか神は信仰の少なさから力を弱め、稀に起こる突発的な癇癪以外は人間に害を及ぼさなくなった。
神の統制が解けつつある現在、世界は少しずつ均衡を失い始めている。
その均衡の崩壊によって生まれる犠牲を堕天使が拾い上げて癒し、均衡そのものを戻して天使は調和を図った。
ゆっくりと眠りへ向かう世界の中で、彼らは何を想い過ごして行くのか…神にも予測できない物語が始まって行く……。