サラ・ラ・モニーク 2021-08-19 17:59:09 |
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集まってくださったということで、さっそくお話していこうと思いますね。少し長くなりますが。
実は私の曽祖父の曽祖父は、もともとある国の伯爵でした。ウソではありません。その伯爵には一人息子がいたため、お家断絶のようなことはないであろうと、家の者は皆安心して生活していました。ところがある日、伯爵の一番お気に入りの側近が紅茶をもって伯爵の部屋へ入ったとき、今まで椅子で読書をしていたはずの伯爵の姿がありませんでした。トイレにでも行ったのかと部屋の中にあるトイレをノックしてみても、返事はありません。その後、伯爵夫人も含め、屋敷中の者が伯爵を探しましたがとうとう見つかることはありませんでした。
事件から一か月ほどたったある日、消えた伯爵の息子が悲しみながらいなくなった父の部屋を整理していると、大鏡の前に伯爵の靴が片方落ちているのを見つけたのです。さらに、得体のしれぬ誰かと交信したような手紙も。手紙には「大鏡」という単語がなんどもでてきたと言われています。
息子は思い出します。ここのところ、父は異次元で果たしたいことがあると毎日言っていたことを。
こんなお話みたいなことがあったわけないとお思いでしょうか?いいえ、あの時確かに伯爵は異次元に行ったのだと私は思います。なぜなら、側近が少し離れた間に人間が国から姿を消すことができると思いますか?それからは誰も突然消えることはなく、わが一族は幸せに暮らしました。
きっと嘘だと心の隅で思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、これは確かに私の一族の間で起きた最大の事件であり謎なのです。くれぐれも、口外は慎むようお願い致します。
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