☆ 2021-07-01 18:33:10 |
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「その通り!他にもまだまだ例はあるんだが、こうしてタマゴが発見されたことが何よりの証拠だ。野生ポケモンの生息域に収まらず、その種類までもが大きく変わりつつある……、ふつう数十年、数百年、あるいは数千年単位の時間を要するレベルの変化、それがわずか3年の間に、このホウエン地方に限って起きているんだ。……どうだい、興味が沸いてきただろう。」
( 博士はハルカの的を得た回答にご満悦な様子で、3つ並ぶうち1つのボールを手に取ると、それを目の高さに掲げてみせながら楽しげに語り続ける。彼の話が全て真実であるなら、そしてその目まぐるしい変化のきっかけが“3年前”に隠されているとするならば、今しがたハルカが口にした“ルネの事件”然り、あまりに心当たりが有りすぎて、それらの出来事に深く関わった立場としてとても他人事とは思えない。しかしそんな使命感のような感情を抜きにしても、彼が告げる事実には強く興味を引かれてしまう。まさに今、このホウエンじゅうの至る所に、まだ見ぬたくさんのポケモンたちが息づいている──あの時103番道路から空を飛んで来た為に足を踏み入れることのなかった、あの101番道路の草むらにも。その事実を考えるだけで気持ちが昂り、堪らずポケモン図鑑を握ったままの片手に力が入る。 )
……………っ、
「それにしても、二人とも随分と察しが良いみたいだ。……忙しい君たちをわざわざ呼び寄せてまで、私がこんな話をしている理由…、もう分かってしまったかな。」
( ボールを元の位置に戻した後で、再び正面の座席に腰を下ろした博士は二人の手元のポケモン図鑑を眺めてそう話す。そして目線を上げた彼とばちりと目が合った瞬間、その言わんとする意味がわかった気がした。これまで博士によって語られたホウエンの変化に纏わる話、卓上に広げられた未完成の調査資料の数々、タマゴの状態で発見された移入種の野生ポケモン、──そして二人が持つポケモン図鑑。それら全ての要素が繋がって、彼が先ほど言っていた“仕事”の意味がはっきりと自分の中で明確になっていく。それは今この瞬間にも目まぐるしく変わっていくホウエン地方のポケモンたちの情報を集め、この図鑑に収めていくことだ。その答えに行き着いた直後、ガタンと椅子を倒しそうな勢いで立ち上がると、少しの迷いも感じさせない真っ直ぐ力の籠った声で )
──……行かせて下さい、博士。オレ…、もう一度、新しいホウエン地方をこの足で旅したい。博士が言う野生ポケモンの変化ってやつを、この目で見てみたい!
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