Mr.Hc 2021-04-23 19:21:03 ID:7848a5538 |
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怖いもの知らずねぇ… まぁ、強ち間違ってはいねぇんじゃねぇの?
( 自分は怖いものを知らないのでは無く、なるだけ避けているだけだ、なんて本心は口から溢さぬ様にそっと蓋をした。地獄の様に怖いものは幼い頃から見てきたし、何なら今も見ているだろう。妹が傍に居ない亊への恐怖が、妹を守れなかったという後悔が、妹を唆した貴方への憎悪が、今も尚この身を灼いている。己はそれを見せない様に、必死に取り繕って 隠して 仮面を被っているだけなのだ。本当は弱者でしかないと解っていながら、強者のふりをして生きている自分と、本当の強者の貴方では大違いだろう と、本音と唇を噛み締める。
“ 待ていちッ …… 何でも無ぇ。 ”
一郎、 と 告げる前に何とか口を噤む。 日陰者の自分が、貴方を引き止めて良い訳が無かった。抑、あの日、自分を引き留める貴方を無視して妹の元へ向かったのだ己は。嗚呼、貴方はこんな気持ちだったのだ、と今更乍に後悔を心の中で痛感する。信頼していたから尚更だろう。縋った自分が惨めで堪らないだろう。こんな男を信じまってな、可哀想に。己さえ居なければ貴方はもっと笑えたのでは無いだろうか と、自傷気味の思考しか頭が回らない。本当に、今日は駄目な日だ。
貴方の背に伸ばし掛けた手を直ぐに引っ込め、直ぐに誤魔化しの言葉を微睡み乍述べ、)
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