Mr.Hc 2021-04-23 19:21:03 ID:7848a5538 |
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ッ…… 、 これで良いかよ。
( 矢張り怒っていたか、と此奴の口調から憶測すると、キスをしないという選択肢は元々無い様だ。恐れ慄き乍も優しく触れるだけのキスをしては、これで良いかと必要も無いのに承諾を得ようとする。プライドにより昔は謝罪をするなど考えたことも無かったが、それによって此奴と仲違いしてしまったのだから致し方無いと口付けてみたものの、矢張り恥ずかしい。恐らく赤くなっている顔を腕で隠しては、割に合わない小さな声で上記を問い。
“ …そうかよ。……てめぇは、変化したっていうより、進化したって言った方が良いか。 ”
相思相愛だという幸せを噛み締めていると、己は変わらないと此奴が言ってきた。己では、随分と変わってしまったと思っていたのに、変わってないと言われて、少し心外だ。此奴が憧れを抱く様な先輩では無くなってしまったのだとずっとずっと思ってきた。此奴自身を罵倒した挙げ句、何より大切だと言っていた此奴の弟も罵り傷付けた。己でもそれが許させる所業だとは思えなかった。だから、とっくのとうに諦めていた。なのに、俺が好いたお人好しは、こんな人間にも手を差し伸べてくれた。己が居なくても、此奴は変わり続けた、兄として弟の為に。それは、誰かの影響を受けてでは無く、自分から変わっていったのだから進化と呼べるだろう、と持論を吐いていて。ぽかぽかとした暖かな手が頭を滑る度に、多幸感に包まれて行くのが分かった。昔は逆に撫でてやったなと思い出し、撫でられたまま頭に手を伸ばし、さっきまで犬猿の仲だった奴の頭を撫でて。)
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