Mr.Hc 2021-04-23 19:21:03 ID:7848a5538 |
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…なんかもう、疲れちまった。 何が正しくて何が間違いかも 解らねぇ。
( 俺は多分、妹を守る為に生まれてきた存在なんだと思う。合歓が誰かと幸せになるまで見届ける為のモノだ。母が死んでから、ずっとずっとそう思って生きてきた。合歓の為なら何でもできた。だから現に任侠者という職業についているんだと思う。
今日も何時も通り、金の返金に遅れた奴等から取り立てていた。其処で出会ったまだ幼い年端の青年と少女。その青年から浴びせられた罵詈雑言の嵐。マイクさえ通されずに放たれた言葉に、苛つきよりも 共感と切望を感じた。少女を庇い乍俺に立ち向かおうとする勇敢な姿に、思わず昔の自分達と重ね合わせ、そして自分が傷付ける事しか出来ない父親と同じ人種なんだという事を改めて認識してしまった。
結局、合歓の嫌いな暴力にしか縋れず、護りたかった合歓も、可愛がっていた後輩さえも俺から離れて行く始末。本当、愉快話だ。俺が今迄信じて進んで来た物は一体何なのか、俺は何を間違えてしまったのか。自問自答している間に、もう何が何だか分からなくなってしまった。
“ なぁ、一郎。幸せってなんだ … ?持ってたら …… くれよ。 ”
俺は、怖い物を沢山見てきた。只、幸せを知らないから、合歓に其れを教えてやれない。少なくとも、TDDと呼ばれたあの時期は、幸せだったと思う。きっと。自分は今幸せでないと感傷に浸っていた所、此奴が来た。其れにほんの少し安心感を抱いたなんて口が裂けても言えないが、此の優しい仕草と声色に救われたのは変えようの無い事実だ。思わず美しかった母を想起させ、涙腺から涙が溢れそうになるがぐっと堪える。男が泣いては駄目だと教えたのは俺なのに、こんなになるなんて 本当、駄目な人間だ なんて思い乍、涙を堪える為に唇をきゅと軽く噛んで )
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