無名 2021-04-23 11:44:21 |
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(数多の星達が己の存在を主張するように瞬いている。しかしその主張は音も無く静かで、意識的に目を空に向けなければ大半の者は気付かないだろう。今宵の月は雲に隠されているので、月光に邪魔される事無く見るに容易い。似ている。自分の名の虫に。夜空を見上げ、物思いに耽つつ一本柳の木に背を預けている一つの影があった。菖蒲色の着物に身を包んでいるその姿は一見普通の町娘のようではあるが、何せ女らしい体格では無く男に間違えられても致し方無い。それに顔の下半分は黒い手拭で覆われており表情の全部は窺い知れない。そんなやや異質な格好で標的を待っていた。亥の刻の正刻を告げる四つの鐘が鳴るのが聞こえる。遅い。何処で道草を食っているのか。痺れを切らしそうになっていると、一つの不規則な足音が耳に届いて来た。視界に捉えられる程近付いて来れば矢張り千鳥足。教えられていた特徴から標的だと確信すると柳の木から離れその人物に足を向ける。幸い此処は家屋があまり無い町外れ。多少の物音は許容されるだろう。持っていた番傘から忍刀を抜けば地を蹴り一瞬にして間合いを詰める。それに気付いた標的も持っていた提灯を捨て抜刀するが時既に遅し。更に相当酒に酔っていた為動作にもたつきが生じ、いとも簡単に袈裟斬りにされてしまった。声を上げる間も無く反対の方も袈裟斬りに。まるで、たすきじるしの如く斬られ仰向けに倒れた人物が事切れた事を冷たい目で確認すれば刀を振って付着した血を振り払い番傘に納める。指定された佐幕派の者を始末する仕事は呆気なく終わった。顔の下半分を覆っていた黒の手拭を外せば懐に仕舞い帰路に着こうと死体を背に歩き出そうとして)
(/無名様、改めて許可していただきありがとうございます!皆様、読みにくい上に分かりづらいロルだと思いますが絡んでやって下さると幸いです。よろしくお願いいたします。)
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