どこかの兄弟 2021-04-20 18:36:39 |
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(言動を全肯定されることには慣れておらず、どこか照れ臭い気持ちもありつつやはり悪い気はしない。寧ろ都合の良い夢を見られて、先程から気分が良いのだ。彼のしなやかな指が何気ない所作で己の手に触れると「それじゃ走り回る時は、貴方に心配かけないように、気を付けながら走るわ!」目一杯の配慮と優しさを孕んだ注意を受けて的外れな返事を。名前を呼んだだけなのに仰々しい反応がどこか可笑しくて、けたけたと楽しそうに笑いながら「やーだもう、頭を上げて!そんなに畏まらなくってもいいのに」と、お辞儀をする相手の顔を覗き込む。従者として彼が寄越した提案にはウーンと考え込んで。仕事柄耐性が付いているせいか身体に強い疲労感は感じないが、この世界が夢か幻覚なのだとすれば、精神的に参っているのかもしれない。大人しく休んだ方が良いだろうか、チラリと目の前の相手に目をやるがどうやら選択権は自分にあるようで。「___あっ、そうだ。休む前に、ちょっとだけ外を探検したい!」チャペルの中だけでもこんなに幻想的で素敵な世界なのだから、あちこち見て回りたくなるのも無理はない。先程から己の言動を一切否定しない彼に少々ワガママを言いたくなったのも正直なところで、早く早くと急かすように好奇心に満ちた瞳で見つめ)
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