名無しさん 2021-04-19 19:31:40 |
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( 奥へと移動する背中に慌てて着いて行き、目に入った籠に目一杯食材が積まれている事が確認できると二つの翠が嬉々と煌めく。勿論、特殊な魔力に満ちているエルフの身体は飲まず食わずでも死にゆくことはないし病気に罹ることもないが、悠久の時を生きる自分たちにとって「食」は何時までも無くなることのない楽しみの一つであり、凡その他種族同様味を吟味することだってある。美味なものを摂取すれば気分は高揚するし、不味いものを食せば悲しくなる。捕らえられてからというもの、まともに口にしていなかった瑞々しい赤い果実を受け取り其方に全意識が集中しそうになった所、発せられた血液の二文字にはたと留まる。眼前の真っ赤な果実、そして彼の真っ赤な瞳を交互に見やって、角が存在する事も含めすとんと腑に落ちて。よもや吸血鬼に買われたとは思いもよらず、動揺を隠す様にしゃくりと果実を人齧りし、咀嚼し、ゆっくりと嚥下してから徐に口を開き。 )
…とても美味しいです。ありがとうございます。…貴方は、吸血鬼だったのですね。
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