名無しさん 2021-04-19 19:31:40 |
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( 徐に乱れ始めた歩調に俯いていた視線をちらりと上に持ち上げると、表情こそ全て確認できないものの再度特徴的な紅い双眸が微かに垣間見える。不思議そうな面持ちで返答を待つと、ぶっきらぼうな物言いで返ってきたことに幾度か目を瞬かせ多少の驚きを露に。無愛想ではあるが、必ずしも私利私欲で下卑た目的のために買っているのではないのだろうと感じられる態度に根は良い人なのかと勘繰り。と、次第に変わってゆく街並みに気付いて一旦思考が途切れる。何日振りの森だろうか、出身地の北の森とは景色は異なるものの自然に触れ合えた喜びは充分自身を舞い上がらせ、視界一杯に広がる緑に目は歓喜し、新鮮な葉の匂いを思い切り楽しむ。相手の存在を一時忘れたかのように、浮き足立った足取りで満足そうに後方を向きながら歩いて。 )
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