△ 2021-03-29 01:55:20 |
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(命が流れ出る気配がする。きっとこれは長くはもたないだろうなと妙に冷静な頭が他人事のような結論を出す。自分が作ってきたもので命を奪われるなんて皮肉な話だがこれが今まで自分のしてきた報いというものなのだろう。もうあまり力は入らなくて自分の身体を抱く存在に凭れ掛かる。自分はずっと一人で別に死んでも構わないと思っていた。だけど今は相棒と呼んでくれたこの男を、一人残してしまうことだけがどうしても気掛かりだ。顔を見上げるとぼやけた視界の中で相棒が顔をぐしゃぐしゃにして叫んでいる。落ちてくる滴は冷たくなっていく体にはやけに熱く感じられた。力を振り絞って相棒の頬に手伸ばす。そこを優しく撫でてから笑顔と呼ばれる表情を意識的に作る。自分が居なくなっても君は探偵を続けるのだろうか。きっと一人でこの街を守っていくのだろう。そこに自分がいないことが酷く寂しく感じた。僕のことを気にせず生きていってほしいけど自分以外の人が君の隣に居るのは嫌だなと思う。君は僕のたった一人の相棒だから。君の名前を紡ぐ。するり頬を撫でて最期の言葉を口にする。どうか僕の身体がこの街の風に溶けて君のずっと傍に居られたら、なんて夢物語を描きながらゆっくりと瞼を閉じた)
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