△ 2021-03-29 01:55:20 |
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(今日は本当に何も無い。残っていた事務作業も午前中には終わってしまって依頼もなく要するに暇だった。相棒も最初の方は依頼人が来るかもしれないといつものスタイルを崩さなかったがそれが3時間を過ぎる頃にはやる気を失ったようでソファーでお気に入りの推理小説を読み始めた。僕も特に熱中するようなキーワードも無く気まぐれに手を取った本を隣で読んでいた。外からは街の風車が回る音が聞こえてくるほど静かで窓際から暖かな日差しが差し込むと次第に気持ちが良くなってきて眠気が頭を支配する。恐らくもう依頼人も訪れないだろうし、今日はこのまま昼寝してしまうのも良いかもしれない。いよいよ口から小さな欠伸が溢れるとパタンと持っていた本を閉じてベッドで寝てしまおうと立ち上がる。だがその腕は直ぐに引かれてしまって体勢を崩した身体は相手にもたれかかったような状態になる。頭に手を置かれてぽんぽんとそこを撫でられる。思わず相手の方を伺うが視線は小説に注がれたままで心地の良いクッションを抱くようなそんな体勢だ。色々文句を言っていたが降り注ぐぽかぽかとした日差しと相手の体温、一定の心臓の音と髪を撫でる仕草は一気に抵抗する意欲を奪ってとろりと脳が微睡む。いつ人が来るか分からない状態で離れるべきであるのに離れたくない。心地の良い温かさは思考を奪うのに十分で、クリップを外し優しく髪を撫でる相手の優しい手つきを感じれば大人しくその微睡みに身を任せた)
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