吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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──テオは、僕にとっては特別な人間だ。他の誰とも関わりを持たなくても、テオとは絶対に離れないって決めてる。
(自分を抱きしめながら紡ぐ相手に言葉はどれも優しく、胸の内に渦巻く漠然とした暗い不安が取り除かれて行くような気さえした。相手と視線を重ねると、自分にとって相手だけは他の人間とは全く違うのだと告げて、例え他の人間との関わりを絶ったとしても相手とだけは絶対に離れないと約束して。自分はいつの間にこれ程感情を持つようになったのだろうか。血を貰い受け人間の死になにも感じていなかったはずがいつの間にかこれほど臆病になっている。人間とも吸血鬼ともつかない自分が、今よりもう少し人間に近づいて幸せになる事が許されるだろうかと、相手の体温を感じながらぽつりと呟いて。)
…可笑しいよね、何も感じていなかった筈なのに。…正体を隠して人の中に紛れる事を、僕は許されるかな。
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