吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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──テオ、お疲れさま。
(一杯目のカクテルを半分ほど飲んだ頃、ドアベルの音が響き入口に目を向ける。扉を開けて店に入ってきた相手が、此方に優しい微笑みを向けた事に安堵している自分が居た。昨晩路地裏で彼と対峙したあの時、彼から自分の姿は見えていなかった筈なのに、もしかしたら今夜もまた憎悪の滲んだ眸を向けられるかもしれないという思いが何処かにあった。僅かな安堵を胸に、此方に歩み寄ってきた相手に声を掛けると微笑み返して。右手にはいつものように煙草を持っていたものの、怪我を負った肩の痛みのせいで腕を動かすのは普段よりも億劫で。立て続けに任務を遂行していた相手も怪我は無かっただろうか、満月だったことを考えると暴走してハンターを喰らおうと襲いかかってきた個体も居たかもしれない。隣に腰を下ろした相手と目を合わせると首を傾げつつ尋ねて。)
…昨日は大変だったね、怪我はない?
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